新規出店で店舗の売上を正しく予測するには

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何店舗も出店している専門店では、新店舗の売上を正しく予測できているでしょうか?

多くの場合、商圏やロケーション、売り場面積等が似ている既存店の売上から予想を立てていることでしょう。各店舗で販売する商品と価格は同じなら、店舗と商圏の状況によって売上が左右されますので、基本的にこの方法で問題ありません。

今回は、この精度をさらに高める方法を事例を元に考えます。

【 事例 和洋菓子専門店 】

プロフィール ~ 老舗の繁盛店 ~
いちご大福地方都市で10店舗の和洋菓子店(併売)を経営しており、本店に併設した工場で製造された商品を各店に配送しています。郊外型ロードサイドの大型店舗を中心に、他は小規模な店舗が中心です。
店の商品は贈答品で使わることが多く、長年にわたり顧客からの支持が厚く、地域一番店としての地位を確立してきました。現在、11店舗目の出店を企画中です。

経営課題 ~ 商品力低下、人材の能力低下と評価制度 ~
近年は、ブランドの陳腐化、大衆化が進んでいるとの指摘もあり、商品もトレンドや顧客ニーズとのズレがあるように思われてきました。
また、従業員のレベルアップがなかなか図れていないことや、従業員の評価への不満が増えていることも問題になってきています。
新店出店を成功させ、これらの経営課題解決に取り組みたいと考えています。

新店売上予測

1.どんなデータから?

既存店売上と商圏データの関係を調べて、それを新店舗の条件に当てはめて売上の予測式を導き出します。
多くの店舗情報があるほど正確性が増しますので10店舗以上の多店舗展開している専門店に向く方法ですが、そこまでない場合でも類似条件の菓子店の情報が得られれば、それを基に予測することができます。
ここでは重回帰分析という方法を用います。 

2.何がわかる?

既存店10店舗の売上高と、店舗面積、駐車場台数、立地、競合状況の4つの要因を表したデータが表1で、その関係を方程式で表すと次のようになります。この、複数の要因が結果にどう関係しているかを式で表すのが重回帰分析という方法です。

店舗売上(百万)=-2.6+1.6×店舗面積+5.0×駐車場台数+2.7×立地-1.6×競合状況
分析からは次のようなこともわかります。
・この式で売上はほぼ間違いなく予測できる。(99%)
・4つの要因のうち、店舗面積と駐車場台数が、売上に最も影響している
重回帰分析については、こんなことができるツールということだけ覚えておけば良いでしょう。計算はエクセルで数値を当てはめるだけでできるようになっています。
エクセルでの利用方法や数値の見方はあらためて解説します。

新店売上予測分析結果

 3.どう活かす?

導いた売上の予測式に、表3の新店候補地の店舗面積、駐車場台数、立地、競合状況のデータをあてはめてみると、新店売上は102百万と予測することができました。
その一方、この方法とは別に、表4では商圏分析とシェア20%の予測から85~90百万程度と予測されています。既存店実績からはより多くの売り上げを見込むことができたといえます。売上に関係する要因はここでの検討項目以外にもありますので、仮説と検証を繰り返しながら、商圏分析も併用して考えるのが良いでしょう。
こうして予測できた新店舗の売上は、初期投資額を左右する非常に重要なデータになります。
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